「木遣(きや)り研究 其(そ)の⑩ 神と重力(じゅうりょく)の釿(ちょうな)と遠心力、斧(おの)と加工の斧(よき)」 曲(ま)がった柄(え)の手斧(ちょうな)「釿(ちょうな)」より遅れて真っ直ぐな柄の石斧(せきふ)の「斧(おの)」は登場する。斧(おの)は伐(き)り倒した丸太を板に製材する為(ため)の楔(くさび)に真っ直ぐな柄が付いたもので製材能力を上げる為(ため)と考えられ、真っ直ぐな柄の斧(おの)の役割確認がされたのが、紀元前600年に其(そ)の場で石斧(せきふ)の斧(おの)で加工された直径50㎝以上の立木を長さ5㍍にし伐(き)り倒し板に加工する為(ため)、楔(くさび)を打ち込んだ製材加工の痕跡(こんせき)を京都で出土(しゅつど)した。柄(え)の真っ直ぐな斧(おの)は遠心力を使い大木(たいぼく)を伐(き)り倒す。丸太を板にする製材には楔(くさび)が用(もち)いられ、後に柄が付けられ斧(よき)と鑿(のみ)に発展したで在ろう。斧(おの)を小型にして木材の加工製材用に工夫されたのが「斧(よき)」で在る。斧(よき)は紀元前後に全(すべ)ての道具と共に鉄器となり多様な形に変化発展工夫されて行く。
日本の大工道具は独特で柄が曲がり振り下(お)ろす釿(ちょうな)は珍しく太古(たいこ)の膝柄斧(ひざえふ)の発明で始まる。重力(じゅうりょく)に依り楽に振り下ろし立木をささくれ立たせ火を使い大木を伐り倒す。火を使う事により、木々(きぎ)にも森にも沼にも神が座(ざ)すると考え四季にも自然現象にも神が宿(やど)ると考えた。特に石斧(せきふ)の手斧(ちょうな)、釿(ちょうな)に神との対話が感じられ祭殿(さいでん)建築時には皆(みな)で音頭(おんど)を取り大木を曳(ひ)き出した。(上代)
考え抜く事により得心し、新たな行動エネルギーが生み出る。