『御幣(ごへい)とは、のお話。』

 『御幣(ごへい)とは、のお話。』 生命は人体を去(さ)っては何(いず)れに在るのか、説は有るが不明。古人は、其(そ)の世界を「幽界(ゆうかい)」あの世と呼(よ)んだ。「死後の生命は亡(ほろ)びるものでは無く、常に何処(どこ)にも存在するのだと言う。延(ひ)いては天命か。
 御幣(ごへい)は神前に供(そな)える神の使いの鳥で、細長い短冊紙(たんざくし)や布で串に挟(はさ)んだもの。神主の使うお祓(はら)いの其(そ)れ、止(と)まり木で頭上に鶏冠(とさか)の金鶏鳥(きんけいちょう)で在る。大陸より米や幸(さち)を運び来ると言う、後(のち)に一対の鳳凰(ほうおう)に変化したと言われる。室町期に新(あら)ためて金鶏鳥、銀鶏鳥(ぎんけいちょう)は伝(つた)う。御幣は「依り代(よりしろ)」。神を迎(むか)え祀(まつ)る時、神が宿(やど)る木や石、鏡(かがみ)のご神体、神像、幣(ぬさ)、神籬(ひもろぎ)等「依り代」で在る。何故(なぜ)、金鶏鳥かと言うのは弥生(やよい)時代(紀元前400年~後300年)初頭より土器製の鶏冠(とさか)の付いた被(かぶ)り物が出土する。豊作等を祈り祭司(さいし)が鶏冠を被(かぶ)り、手を広げ鳥の様に踊ったと言われる。御幣の短冊(たんざく)で鳥の鶏冠を現(あらわ)す。御幣(ごへい)は鳥で在る。住宅建築の上棟式での御幣は紙の短冊を指し、依り代(よりしろ)の止まり木は棟札(むなふだ)で在る。棟札は上棟式の棟木(むなぎ)に括(くく)り付け、棟木を納(おさ)める時には、お祓(はら)いの御幣を振(ふ)りて神の使いの鳥、金鶏鳥(きんけいちょう)が飛び来たり、棟木に留(と)まる姿を表わして居る。誠に目出度(めでた)い上棟式の形が現在にも伝わって居る。(上代)
            お目出度いものは、伝えて行きたいもので在る。