『京町家』のお話。其の27 通り庭の「火袋」とは、何ぞや。

 「火袋(ひぶくろ)」とは防火上の土塗籠大壁(つちぬりこめおおかべ)(真壁(しんかべ)が殆(ほとん)どで在るが)で囲(かこ)ayanokoji7@softbank.ne.jpまれ二階床組の無い、吹き抜けの大屋根裏まで続く開(ひら)けた空間では在るが、現在見られるものにはカマドに煙突も設(もう)けられるが基(もと)のものは直接、煙を立ち上げて居たで在ろう。当然、大屋根に煙抜(けむりぬ)きの越屋根(こしやね)等が載(の)せられ屋根組の突端(とったん)より開き抜(ぬ)いた。
 「通り庭(とおりにわ)」の上部空間に拡(ひろ)がる、仄(ほの)明るい土間の三和土(たたき)が主役、の空間では在るが、太古より「竪穴式(たてあなしき)住居」暮(く)らしでの、三和土(たたき)に囲炉裏(いろり)の在る土間に敷物を敷いて生活をして居た名残(なごり)で在ろうか。古来より、日本人の心中に焼き付き染(し)み付いて居る懐(なつ)かしい記憶なのかも知れ無い。見上げれば煙が立ち昇り、大屋根の頂(いただ)きより煙が抜けて行く。丸太梁等が其処(そこ)かしこに無造作に掛(か)かって居り、空間に波が漂(ただよ)って居る風景か。内の庭に掛かっては居るが外(そと)での景色に連想する。通り庭と呼ばれスカイライトがよく似合(にあ)う。「京町家」の代表的イメージに「火袋(ひぶくろ)」の印象が相当強いのでは無いだろうか。「通り庭(とおりにわ)」にこそ拡がる世界在り幅が狭い割に上空が開けて居ます。「火袋」は外庭(そとにわ)の感覚で捉(とら)えるべきで在ろう。小宇宙が拡(ひろ)がって居る世界なので在ろう。(上代)
          即行即止、良いと想った事は即実行。