『京町家』のお話。其の21 千年住宅、箱木家とは何ぞや。 

 神戸市に在り千年住宅と江戸時代より呼(よ)ばれる日本最古の民家(農家)移設復元されたものです。軒(のき)は低いが垂木(たるき)構造で勾配(こうばい)は矩(かね)に葺(ふ)き下(おろ)した茅葺(かやぶき)屋根でたっぱも在る立派な建物で豪農(ごうのう)の住まいで在ったと言う。竪穴式(たてあなしき)住居の上屋(うわや)、其(そ)のもので、又、現在の茅葺、藁葺(わらぶき)屋根と基本的に余(あま)り変わりません。閉鎖的な外観外周に、南の玄関正面に縁側(えんがわ)が迎(むか)える表情で開けられて居る。外壁は土塗籠大壁(つちぬりこめおおかべ)で囲(かこ)まれ壁立(へきりつ)式竪穴(たてあな)住居に近い雰囲気。外周に溝(みぞ)で雨水を流し溜(た)める。
 先(ま)ず、玄関を入ると直(す)ぐ右側に馬屋が在り其して「にわ」と呼(よ)ぶ三和土(たたき)の土間が広がり「だいどこ」と呼(よ)ぶ板間に対面して独立したカマドが設(もう)けて在る。手前壁面には木製の流し台「はしり」が在り外の水甕(みずがめ)に排水を溜(た)める。左側は「おいえ」と呼ぶ住居部で全(すべ)て板敷(いたじ)き床が組まれる、高さ60㌢位。入口より「おもて」と呼ぶ囲炉裏(いろり)の広間が在り、奥背面(おくはいめん)に「だいどこ」から入る納戸(なんど)(寝室)が在る「おもて」の間に縁側と内法(うちのり)には室内の長押(なげし)の原型、12㌢幅の外長押(そとなげし)の角材が廻(まわ)る。昔、用心に槍(やり)では無くて、石礫(いしつぶて)を並(なら)べて投げ石、長押(なげし)の語源の説も在る。高い屋根の棟仕舞飾(むねじまいかざ)り等も在り圧倒(あっとう)される。(上代)
          「気付いたら直ぐする。」が実践の極み。