『建築とは、豊かさを表現するのか。』

 建築とは組み立てる思想で在ると、日本を愛した独(ドイツ)人建築家「ブルーノ・タウト」は言った。愛知県犬山市明治村に在る「フランク・ロイド・ライト」設計の旧帝国ホテル中央玄関が移設展示されて居るが目(ま)の当たりにした時、印象は驚きと共に落胆す。此れでは、ミニチュア・ハウスで在る。形容は立派なライトの建築其のままで在るが、どう見ても縮小版で在る。子供の頃、聴いた話を想い出す。晩年の「大隈重信(おおくましげのぶ)」は責任者として恥じて居た。明治の新橋~品川に鉄道が敷かれ、初めて蒸気機関車が走った。イギリス人技師に依り導入されるが、独自に近代化を目指す日本に、極東(きょうくとう)の小国が生意気だと、植民地用の狭軌(きょうき)鉄道を紹介したと言う。
 『大隈、一生の不覚』と嘆(なげ)いた。人種差別も在ったのか。同様に、此の旧帝国ホテルも狭く、天井も低過ぎ。ライトの弟子(でし)で「遠藤新(えんどうしん)」設計の神戸、旧甲子園ホテルは昭和五年竣工(現、武庫川女子大キャンパス)。ライト式、スケールも大きく階段を多用し段差にて見える世界を変える手法(映像ライブラリー)を取る。灘(なだ)の宮水に因(ちな)んでか水玉列が軒下にトリミング、打ち出の小槌(こづち)からは水玉がほとり出る。「建築とは、豊かさを表現するのか、」(上代)
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