「対、地震についての考察」 その8

 五重(三重)の塔の秘密を探る研究に伴い折好く、土壁と軸組に依る伝統工法、柔構造の三次元実物大、振動加振台実験が実行公開され参加しました。其の加振台実験で大変注目したのは、京町家の通庭(火袋一体)側壁柱の銅差が入ら無い大屋根梁迄の、側壁柱の応力結果。目的は心柱と棟持柱の類似の関連性や興味で其の動きで在る。そして観るべきものは観た。古代人は既に地震波を走っている状態で捉える「スネーク・ダンス」(地震計は固定)例えば「蛇踊り」現象と認識した。故にシュミレーションは容易で在った。明らかに、一二階等は交互に揺れ二階床部でくの字に折れ、大屋根は振れる。
 此処で三次元実建物振動台での京町家、伝統建物、基礎部は緊結されず礎石建ちの状態の実験体で在った。実際と同様の上下運動が加わるが、五重(三重)塔も弥生時代よりの重層建築(大きな平屋建)で在り、通柱は無く、上層柱も屋根垂木上に立つ、荷重を最も支える四天柱上も斗拱が幾重にも組上がり、側柱も尾垂木上で斗拱組が軒を支え部材積み上げ構造体なので極めてクッション性が在る、これぞ軟構造。故に沈下する。又、心柱は吊られて浮いて居るので尚更クッション性が高く、地震に対して有効です。一二階等が交互に揺れて二階床部で、くの字に折れ、そして屋根梁部では逆に揺れます。柔構造の通庭(火袋一体)大屋根を支える側壁柱は、腰部の「はしご状梁」で撓んで抑え、屋根頭部では跳ね戻して、揺れが逆に動いて揺れを抑える。この心柱と同様の制震作用の働きを起こす大屋根迄の一面側壁柱を他の木造建物にも活かして制震工法及び制震材として活用できないものか、可能性が在ると想います。因みに、心柱のルーツと思われる棟持柱(高床倉庫、共)はニューギニア、南方の島々から沖縄、琉球地方のルートで伝わる。(上代)
               その9、に続く。
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