「木遣り研究 其の⑥ 石斧の曲がった柄の手斧から釿へ」

 「木遣(きや)り研究 其(そ)の⑥ 石斧(せきふ)の曲(ま)がった柄(え)の手斧(ちょうな)から釿(ちょうな)へ」 石斧(せきふ)は斧(おの)では無く『膝柄斧(ひざえふ)』の手斧(ちょうな)は1000年先(さき)(すで)に出土(しゅつど)。要(よう)するに日本では柄(え)の曲(ま)がった手斧(ちょうな)が先に出現する。原形は膝柄斧と呼(よ)び、根株(ねかぶ)の柄に石器の刃を付けた道具で上から振(ふ)り下(お)ろす。石斧の手斧から鉄器の釿(ちょうな)。釿が先で斧(おの)が後(あと)
 後の土を掘る鍬(くわ)も鋤(すき)からで上から振り下ろし、加えるが語源。神の力が加わり楽に仕事が出来るので在る。其(そ)れでは釿(ちょうな)で立木(たちき)をどの様に上から切倒すのか。大木(たいぼく)を何度も上から振り下ろし、ささくれ立たせ火を使うので在る。火を使う事に因(よ)り、木々(きぎ)にも森にも沼にも神が座(ざ)すると考えた。神の表音(ひょうおん)文字は「加微(かみ)」と書き、神の力が加わるを意味する。神の表意(ひょうい)文字が示(しめ)す偏(へん)は祭壇(さいだん)を意味し、旁(つくり)は申(もう)す雷(かみなり)、イナズマを現(あらわ)す。振り下ろすので楽で在る。
 日本では真っ直ぐな柄の斧では無く柄の曲がった道具、手斧(ちょうな)で上から振り下ろし「釿(ちょうな)」が道具として太古(たいこ)より使われ続けてる。柄に石器の刃を取り付ける方法が大変で、膠(にかわ)や地表の石油等を使い苦労した。膝柄斧(ひざえふ)の発明に依り木を使う技術、大工道具の進歩が早くて続いて柄の付いた「遣り鉋(やりかんな)」も工夫(くふう)された。釿と遣り鉋と鑿(のみ)の原型、楔(くさび)が最初の鉄器の道具で在る。(上代)
           「実践のポイントは、考えずに遣って見る事」