『木遣り(きやり)、とは何か』

                    『序』
『木遣り(きやり)、とは何か』 「木遣(きや)り」とは「木曳(きび)き」の事で在る。「木遣り」とは古くは山から木を伐(き)り出し、村人が力(ちから)を合わせ大木(たいぼく)を皆(みな)で曳(ひ)き出す神への「木曳(きび)き唄(うた)」が語源(ごげん)で在る。木遣り音頭(おんど)は木曳き唄より転(てん)じた。
 又、「きやり」とは目出度(めでた)いものとして建物を建てる時や『大安(だいあん)』の日には、嫁入(よめい)りの風景と同じ様に、町角(まちかど)には俗(ぞく)に「きやり」と云(い)われる『祝い歌』の数々(かずかず)が聞かれたものでした。(きやり)とは、目出度いものの代名詞(だいめいし)と為(な)って居た。
 「木遣りとは」縄文(じょうもん)時代よりの集落(しゅうらく)は環状(かんじょう)に形作られ中央の小高い場所に墓地が設(もう)けられる事が多く、中期には平地式の掘立柱祭殿(ほったてばしらさいでん)建築が造られる様に為る。やがて南方の島伝(しまづた)いに高床式(たかゆかしき)建築も伝(つた)わり合(あ)わさって「高床式祭殿建築様式」は確立した。祭殿建築用材は、村の者達が山より大木(たいぼく)を伐(き)り出すのでは在るが、日本古来の石斧(せきふ)で切倒(きりたお)すが、石器時代よりの手斧(ておの)は在っても大きな石斧(せきふ)の斧(おの)は未だ無く、農具の鍬(くわ)(語源は加(くわ)える)と共通、大工道具の「釿(ちょうな)」で火を使い大木を切倒して居た。石斧の釿(ちょうな)で上から振り下(お)ろし、神が力(ちから)を貸し賜(たもう)て楽に「鍬(くわ)」同様作業出来(でき)「ささくれ立たせ」火を使って燃やし切倒すので在る。火を使う事に因(よ)り木々にも神が宿(やど)ると考えた。(上代)
           「歴史を遡ぼれば解かる」