『羅城門とは何か、其の①』

 『羅城門とは何か、其の①』 羅城門とはかつて平安京の都の表玄関で在った。左に西寺、右に今も唯一東寺のまま存在する東寺が控える。其の羅城門を潜り、真っ直ぐ北に極端に広い大通り正面に朱雀門が遠くに見えた。朱雀大路は両側に水路も流れて居たと言う。平安京は中期には左側半分は廃れ何も無く元の湿地帯に帰る。朱雀大路は運河と為り果てた。其の時に羅城門の大きな礎石は撤去されもう無い。当時の西寺と東寺の金堂、本殿の軒瓦には緑柚瓦が縁取られ(平瓦に緑柚瓦は使わない)官寺の威容を誇る。
 羅城門と言えば、三船敏郎主演、芥川龍之介の「羅生門」を想い出す。白黒映画で無彩色に少し朽ち果てて居る様にも見えるが朱塗りの円柱で、威風堂々とした二重楼閣の羅城門は平安京の衰退を身にもって現わす。二階に毘沙門天は鎮座し、四天王の中の多聞天の別名でインドの古代神話に登場、中国では勝利の軍神と呼ばれる。此の事から平安京の守護神として、羅城門の二階に安置され都の外敵に睨みを効かす。天元三年(980年)羅城門は大風に拠って倒壊する。毘沙門天は救い出され東寺に在る。其の年、再び大内裏は火災に見舞われた。二度と太極殿や清涼殿等は再建されず。(上代)
             「思考せよ、其れが現実と成る」