『五(三)重塔は何故(なぜ)大地震に倒(たお)れ無いのか不思議、其(そ)の②』 五重(三)塔は金堂(こんどう)、その他も重層(じゅうそう)建築で下層垂木(かそうたるき)の上に柱盤(はしらばん)を天秤押(てんびんお)さえに敷(し)いて、多層構造を構成して居る。木材を縦軸(たてじく)に柱を使わず、わざわざ横に寝かせて組んで居るので10~12%収縮(しゅうしゅく)する。其(そ)の為(ため)、五重(三)塔は一割近く縮(ちぢ)む。
心柱(しんばしら)は相輪(そうりん)の中も全体通(とお)って三、四本位繋(くらいつな)いで一本の心柱に組んで在る。一番大事な処は、心柱で屋根の最上部に吊下げ、約10㍍以上の相輪部は、ムチの様に撓(しな)り、8の字を描(えが)いて振れ、地震波を吸収する。九段の相輪は見た目より大きく、だいたい直径が1.8㍍位(くらい)在り銅製円管蛇腹重(えんかんじゃばらがさ)ねて構成され、各相輪には擦管(さっかん)と呼(よ)ぶ銅の筒(つつ)と組み合わせ十分に隙間(すきま)も取られて居る。心柱の先の振れを下に伝えて居るのかも知れない。心柱の先には仏舎利(ぶっしゃり)を納(おさめ)、水煙(すいえん)と宝珠(ほうじゅ)が載(の)る。室生寺(むろうじ)の五重塔に代表される1/2~1/3サイズの卒塔婆(そとば)の相輪は鋳物製(いものせい)で出来て居り四倍位重いウエイトが掛(か)けられて居る。塔が低くなれば当然、五(三)重塔の振れも悪く為(な)る。相輪も振れ無いので重くする必要も生じる。以前、振動台実験装置を使って大バカ者無能者連中が簡単な五重塔の模型を作って載(の)せ、揺(ゆ)らせてゴトゴトと音がしただけと言う。(上代)
「現実は想った通りにしかならない」