『先日、薮内流の茶室、燕庵(えんなん)を拝見しました』

 「先日、薮内(やぶのうち)流の茶室、燕庵(えんなん)を拝見しました」 小生(しょうせい)、どうしても入庵したかった茶室、燕庵(えんなん)に行って来ました、感動です。確(たし)か茶室の躙口(にじりぐち)を潜(くぐ)ったのは初めてで高さニ尺五寸とかなり低い、先日(せんじつ)金曜日に薮内家(やぶのうちけ)を訪問した。
 目を皿のようにして拝見し、わび茶も頂(いただ)いて来ました。西洞院正面玄関の立派な門より案内される。庭一面手入れされた毛氈苔(もうせんごけ)、大小とりどり飛び石を伝(つた)って歩く。先(ま)づは割り腰掛けの間(あいだ)を進み袖摺(そです)り松を躱(かわ)し右に松明垣(たいまつかき)を見て中庭の枝折(しおり)戸、猿戸(さるど)を潜(くぐ)る。延段敷(のべだんし)き石を踏(ふ)みながら左に局面の織部(おりべ)(利休(りきゅう)の弟子(でし))井戸それと雪の朝(あかり)灯籠(とうろう)を見る。正面に入母屋造茅葺(いりもやづくりかやぶき)の燕庵は佇(ただず)む。躙口(にじりぐち)から履物(はきもの)を揃(そろ)えて上がり興味深い蒲(がま)の天井も拡(ひろ)がる。三畳大目大目切本勝手下座床相伴席付(さんじょうだいめだいもくきりほんかってしもざとこしょうばんせきつき)で燕庵形式と呼(よ)ぶ。壁は荒壁(あらかべ)で炉(ろ)隅に織部考案の中柱(なかばしら)が手前主人の顔が見える様に中程(なかほど)に曲線を描(えが)いて立つ。
 其(そ)の中柱では目の高さ位(ぐらい)水平に下は開(あ)いてお手前が観(み)える様、一本の五つ節(ふし)竹が壁を貫(つらぬ)き上部は袖壁(そでかべ)に成って印象的な構成(こうせい)で在る。窓は多く躙口(にじりぐち)の上に連子窓(れんじまど)、手前座の花明(はなあか)り窓や天窓の突上窓(つきあげまど)等で10窓(そう)在る。薮内流は「利休に帰れ」と掲(かが)げる。良い天気にも恵(めぐ)まれ至福(しふく)の一日で在った。(上代)
             想い通りの作戦通りの人生でも在る。