「故・宗家 諸富一郎の教えを回顧、今に生かす」

 「故・宗家(そうけ) 諸富一郎(もろとみいちろう)の教(おし)えを回顧(かいこ)、今に生かす」 宗家、諸富一郎が亡くなられて久(ひさ)しい。私は御香宮(ごこうぐう)支部に於(お)いて催(もよお)しの最(さい)、宗家(そうけ)にお運(はこ)び頂(いただ)き出迎(でむか)えの役(やく)を仰(おおせ)せ付かって居りました。其(そ)の何時(いつ)もの光景(こうけい)が焼(や)き付いて居ります。お出迎えの度(たび)に諸富宗家は時間に十分余裕(よゆう)が在るにも係(かかわ)らず、小走(こばし)りに少し血相(けっそう)を変えて小急(こいそ)ぎに向かって来られるので在る。諸富(もろとみ)先生と駆(か)け寄り止(とど)まって頂き、ご案内しますが宗家のお人柄(ひとがら)が如実(にょじつ)に現(あら)われて居ました。
 最近に為(な)って宗家の教(おし)えの言葉の一部を伝え聴く事が出来ました。其(そ)の中で発(はっ)せられる気合(きあ)いの(イヤァー)の意味と想わる「三つの気」が大事だと言われて居たそうです。「元気、遣(や)る気、勇気」が在れば何でも叶(かな)える事が出来ると言われる。当然、詩吟の普及(ふきゅう)、発展で在ろう。真剣勝負(しんけんしょうぶ)の気合いにて、創意工夫(そういくふう)を図(はか)り昨日(きのう)までのノウハウに頼(たよ)らないドキドキ・ワクワクで在ろう。
 小生(しょうせい)、興味深いものの一つに小節(こぶし)とビブラートが在ります。民謡(みんよう)の大多数を占(し)める沖縄で小節(こぶし)は神への祈(いの)りと呼(よ)び、洋楽で天(てん)に上昇するビブラートを声楽家は永遠(えいえん)のテーマだと言う。イメージの世界で在るが詩吟の指導者も声楽(せいがく)の指導者も同様に語(かた)る。宗家(そうけ)の言う理想の世界が其処(そこ)に在るのか。(上代)
           決めた事は徹底して行ないましょう。