『斗拱(ときょう)研究 其(そ)の⑩ 起木(はねぎ)の完成』

『斗拱(ときょう)研究 其(そ)の⑩ 起木(はねぎ)の完成』 日本の社寺建築の深い軒(のき)を支(ささ)える、隠(かく)れて長い天秤梁(てんびんばり)の起木(はねぎ)は桃山時代(1573~1635年)完成する。起木(はねぎ)の完成により、日本の寺院建築、神社の軒を飾(かざ)る化粧地垂木(じたるき)、飛燕(ひえん)垂木等斗拱(ときょう)は屋根裏に延伸(えんしん)せず軒裏(のきうら)を飾(かざ)る様式美(ようしきび)として在る。重い軒の出の全(すべ)て荷重を起木は受けて様式美をも支(ささ)える。全ては此の起木にぶら下がり、化粧垂木等斗拱は形骸化(けいがいか)し化粧の軒裏飾(のきうらかざ)りと専念し、斗拱(ときょう)は精彩(せいさい)を失(うしな)った。
私がお世話に成って居る伏見、御香宮(ごこうぐう)神社は古墳(こふん)時代(300~538年)14代仲哀(ちゅうあい)天皇(日本武尊(やまとたけるのみこと)の子)其(そ)して子は15代応神(おうしん)天皇で、神功皇后(じんぐうこうごう)を主神に祀(まつ)られて居る。現在最古の建物が「九社殿(くしゃでん)」と呼(よ)ばれる、能舞台(のうぶたい)も含(ふく)む社殿で在り、約400年前に建てられた江戸時代初頭(しょとう)の建物で在る。30年程前に約半分が改修されて居ますが、400年前と同様に屋根裏で素晴らしい起木(はねぎ)と隅木(すみき)が深い軒の出の全てを支えて居ます。天井の上から見る事が出来ます。「九社殿(くしゃでん)」の大きな特徴(とくちょう)で其の起木と隅木の様子が良く解(わか)ります。
小生(しょうせい)、縁在(えんあ)って三木(そうぎ)宮司より許可を頂き、此の「九社殿」の調査報告書作成に間も無く取り掛かり約半年掛けて纏(まと)めて参(まい)ります。お楽しみに。(上代)
いよいよ佳境(かきょう)に入って行きます。

御香宮神社
(御香宮神社)
御香宮神社
(御香宮神社)