『京町家』のお話。其の⑯ 三和土の土間は、庭(にわ)。

 屋敷の中の、仕事をする三和土(たたき)の土間を庭(にわ)と呼びます。日本最古の民家(農家)「箱木家(はこぎけ)」では茅葺(かやぶき)屋根の中の馬屋は別として区切りの無い入口通路部、流(なが)し(はしり)、台所通路部、カマド、勝手口や囲炉裏(いろり)の在る居室(きょしつ)や納戸(なんど)に面し三和土の土間を、「庭(にわ)」と称(しょう)する。「京町家」では「通り庭」と呼ぶ。
 千年住宅「箱木家」では全(すべ)ての部屋が茅葺屋根の下にすっぽり全て収(おさ)まり、カマド、流しの「火袋(ひぶくろ)」、含(ふく)めて主体の居間の「囲炉裏」の煙で茅葺屋根等、藁葺(わらぶき)屋根、燻(いぶ)され害虫等防(ふせ)ぎ長持ちもしますが「京町家」では瓦葺屋根です。要するに「京町家」では、カマドのみを「火袋」で防火、煙を呑(の)み込みます。
 「竪穴式(たてあなしき)住居」より進化したと言える「茅葺屋根住居」等は入母屋(いりもや)屋根型の切妻(きりづま)両面の煙り抜(ぬ)きより茅葺、藁葺屋根が燻され煙が抜かれます。詰まり、遥(はるか)か古来より延々(えんえん)と縄文(じょうもん)時代より、竪穴式住居より現在も茅葺、藁葺屋根住居に於(お)いて途切(とぎ)れる事無く「囲炉裏」に拠(よ)る人々の生活や温(あたた)かさを絶え間なく与(あた)え続け繰(く)りかえされて居るので在る。三和土の土間を庭(にわ)と呼び、【語源は】遥か竪穴式住居より、「囲炉裏」にて煙が立ち昇(のぼ)るに観(み)ゆ。(上代)
            私情を捨てて、己(おのれ)を磨く。