『京町家』のお話。其の⑮ 室町時代、豪農生づ民家様式。 

 室町時代、豪農生(ごうのうしょう)づ民家様式。
 日本最古の現存民家「箱木家(はこぎけ)」室町時代後期に建てられた、我が国最古の民家で在る。(移設復元)既(すで)に江戸時代「千年住宅」と呼(よ)ばれて当時より有名。室町時代に生じた豪農(ごうのう)の住まい形式で、日本の民家(農家)の基本様式と成ったもの。
 「京町家」の内部形態様式、生活様式の伝統形態を其(そ)のまま伝(つた)えるもので、「竪穴式(たてあなしき)住居」の発展形態も伝える貴重な建物です。京町家の三和土(たたき)も火袋(ひぶくろ)も流し(はしり)もカマド、台所も全(すべ)て揃(そろ)って居ます。現在の「京町家」の伝統は、平安京の長屋の外観様式と、此の室町時代の民家(農家)内部様式、生活形態の伝統様式が合わさったものです。神戸近郊に建つ千年住宅「箱木家」は茅葺(かやぶき)屋根の垂木(たるき)構造で、勾配(こうばい)は矩(かね)に葺き下され軒(のき)高は低く、竪穴式の上屋(うわや)、其(そ)のものです。又、現在の茅葺屋根と基本的に変わらず竪穴式住居が発展したものと言える。閉鎖的な外周の南側正面、玄関左に縁側が迎(むか)える表情で設(もう)けられ、外壁は「土塗籠大壁(つちぬりこめおおかべ)」で囲(かこ)まれ、此れは、壁立式竪穴(へきりつしきたてあな)住居の周提(しゅうてい)(土塁(どるい))其のものです。雨水が入らぬ様に浅い周溝(しゅうこう)も巡(めぐ)らされ、流しに面し雨水と排水を溜(た)める水甕(みずがめ)が埋(う)めて在る。南東の住み良い処に馬屋を設ける。(上代)
            何か一つを極める事も大事と言う。