『京町家』のお話。其の⑪ 平安京の長屋が京町家に伝う。 

 「京町家」、とは何か、特に外観の様式形態では、特徴(とくちょう)は何かと言えば、其れはイコール、千年の時の流れを遡(さかのぼる)る「平安京」、雅(みやび)な庶民の住まい「長屋(ながや)」だと言える。
 古(いにしえ)の『平安京』庶民の雅な長屋暮(ぐ)らしでの外観、伝統が現代の「京町家」にも受け継がる。平安京の庶民、長屋の型式が千年を経(へ)ても尚(なお)、綿々(めんめん)と伝う。
 特長の一つ目に、長屋の外観立面を飾(かざ)る玄関横の、見世(みせ)の間に嵌(はま)るは貴族の館(やかた)、雅な蔀戸(しとみど)を真似(まね)た飾格子(かざりこうし)窓です。二つ目に格式の外長押(そとなげし)。三つ目に、鎧下見板押縁張(よろいしたみいたおしぶちばり)で在る。平安京の長屋外観立面が京町家のエレベーションと為(な)り得た。言うまでも無く、竪穴式(たてあなしき)住居の夜明けを知る小窓、流し口の「東雲(しののめ)」は「蔀戸(しとみど)」と為り、京町家の「段格子(だんごうし)」と為り伝う。平安京の長屋の飾格子窓は全国各地に伝播(でんぱ)し、拡(ひろ)がり用(もち)いられて多様な地方での格子窓と相為(あいな)った。格式の外長押(そとなげし)は、其(そ)のままの形式型で、現代京町家での格式伝統の外観を飾る。贅沢(ぜいたく)な鎧下見板押縁張は平安京の長屋の妻面に張られ圧倒(あっとう)する様に覆(おお)わる。
 此の三つが、京町家のファサードを飾る様式のルーツ、古の「平安京」、庶民の住まい「長屋」様式が伝統と相成(あいな)り、京町家の外観と成り得た。(上代)
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