『京町家』のお話。シリーズ、其の③ 原点の土手の作業台。

 私達、日本の住居、「京町家」等の住まいの原点、居住形態等の概念(がいねん)は其(そ)の昔、定住化に伴(ともな)う「竪穴式住居」の土間が掘り下げられた事にも在る。床を掘り下げた為(ため)、周囲に円形で土手(どて)状の作業台が生じ、狭(せま)い居住空間が効率的作業台スペース、室内空間も拡(ひろ)がった。土手の作業台の外周に伏(ふせ)屋根が斜(なな)めに立ち上がり覆(おお)う。
 作業台スペースの土手腰壁立上がり面は葦簾(よしず)で囲(かこ)み靠(もた)れた。東側の作業台に水甕(みずがめ)が埋(う)められ水を汲(く)む。(古代日本では自立しない甕型(かめがた)、地を突(つ)き汚(けが)れを祓(はら)う思想。壺(つぼ)は古墳時代に朝鮮半島より伝わる。)隣(となり)に「はしり」と呼(よ)ぶ流しを設(もうけ)け外へ排水を流す。流し台のスペースには石皿(まな板)と石包丁を載(の)せて使う。掘り下げた竪穴式住居の外側には雨水の流入を防ぐ為、外周に浅い溝(みぞ)が通され、東外(そと)に流しの排水と雨水を溜(た)める為の竪穴(たてあな)が掘られ水を張り付近の畑等に撒(ま)かれた。南正面には窓兼用で外敵の侵入を防御(ぼうぎょ)の躙(にじ)り口。
 居住空間を掘り下げる事に拠り、頭寒足熱の暖房効果と作業台スペースも取れ、外敵の備(そな)えも少しは出来た。伏(ふせ)屋根組と土手の作業台の間、55㌢位、高さ75㌢位と想われ、快適な住空間での暮(くら)しも営(いとな)まれたと言える。(上代)
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