『京町家』のお話。シリーズ、其の① 三和土(たたき)。

 伝統建築様式、「京町家」の代表的特徴に、『通り庭』が在ります。土間は三和土(たたき)と呼ぶ滑(なめ)らかな土の土間です。三和(さんわ)とは【連係】を意味します。此の土間は、縄文(じょうもん)より始まる「竪穴式(たてあなしき)住居」日本住居で人は此処(ここ)で暮(くら)し歴史が染(し)み付く。
 「京町家」は玄関を入ると其処(そこ)は三和土(たたき)の土間です。見世(みせ)の間に面します。奥へは必ず引き戸が在り、居住空間スペースへ拡(ひろ)がります。三和土は裏口の勝手へと長く続きますが其処は正(まさ)に縄文よりの竪穴式住居をも彷彿(ほうふつ)させる。日本民家は室町時代に農家の基本が形成、今に伝わるのが神戸近郊の箱木家(はこぎけ)。竪穴式と京町家の中間に位置し、昔は東南の一番住み良い処に馬屋を設(もう)けた。引き戸を潜(くぐ)ると其処は過去に戻(もど)り丸太梁が架(か)かり煙り抜き越(こし)屋根も掛(か)かった。
 火袋(ひぶくろ)、土塗籠壁(つちぬりこめかべ)が大屋根裏まで空間が拡がり、床は全(すべ)て三和土です。先(ま)ず、水屋(みずや)と呼ぶ造り付けの立派な食器棚が控(ひか)え隣に「はしり」と呼(よ)ぶ「流し」が据(す)わり、台所板間に面します。奥にカマドが作業スペースも取られる。井戸は屋内の処も多い。三和土の源は古代中国よりの「版築(ばんちく)工法」。砂質土と粘土質を交互(こうご)に突き固(かた)め滑らかに、今も「万里の長城」の補修に見る。(上代)
      「京町家」のお話を、シリーズにして、50話を目標にまとめて見ます。