亡き宗家、諸富一郎の言う『一吟養神』が漸く解る。

 亡き宗家(そうけ)、諸富一郎の言う『一吟養神』の養神(ようしん)が漸(ようや)く解(わか)る。『一吟養神』の養神とは何ぞや。『誠の心、外(そと)に現(あらわ)れ出る発露(はつろ)で在った。』人は自分中心、利己主義に陥(おちい)り易(やす)い。『誠』は言うに易く行うに難(かた)い。修養を積む必要が在る。修養にも色々の道が在る。其(そ)の中で「詩吟」は人として最も効果的な道で在る。
 詩吟の本義は『奥深い詩心を味わい、感激、感動して、詩を吟じる事に依って真心を養(やしな)う事に在る。』精神上に於(お)いては、絶えず至らぬ自己を反省し、自分自身を鞭(むち)打って修養に努べし。肉体上に於いては、病は気からと言われる様に真の気力、臍下丹田(せいかたんでん)に充実させ、我が生を励(はげ)まし、健康に努べし。
 対人上に於いては、誠の心を以て感謝し謙虚な態度を以て相交(あいまじ)わり、自己の責任を果たす事。『此の真心、即(すなわ)ち誠の心を養う事が詩吟の原点で在る。』
 全(すべ)ては此の誠の心の発露(外に現れ出る事)『養神』嘘が吐(つ)け無くて、突然表に現れ出る。明るく前向きに生き、憂(うれ)えるの反対は喜ぶ事と言う。時折不信の中、彷徨(さまよ)い見失い易いもので在るが決して欺(あざむ)か無い疑(うたが)わ無い事だと念じて行い、内なる無限の力としての『信』を培(つちか)い、喜んで生きる力を養う。故、宗家、諸富一郎より頂いた色紙の「一吟養神」が漸く解った。(上代)
           決心と言う事は、今迄なかった事を、こうしようと信念を定める事で在る。