『御幣(ごへい)』は金鶏鳥の『とさか』を象ったもので在る。

 弥生(やよい)初頭、紀元前500年より農耕祭祀(さいし)で「使いの鳥、金鶏鳥(きんけいちょう)」を現(あらわ)し鶏冠(とさか)を載(の)せた人の顔、人面土器が出土する。儀式での神の使い、金の鶏冠の付く、金鶏鳥に扮(ふん)して踊って居たので在ろう。他に司祭が鶏冠の被(かぶ)り物を載せては儀式に用いた。
 金鶏鳥は、古代中国、渡来人に依り伝えられた想像上の鳥で、先祖の住む世界から米を運び豊作をもたす使いの鳥で鶏冠、冠(かんむり)の様なものを載せて居る。此の金鶏鳥が後に目出度(めでた)い時に現れると考えられた想像の鳥「鳳凰(ほうおう)」へと伝えられて行く。又「龍」は空を飛ぶ想像上の神の使いで、雲を起こし雨を降らせると言う。龍は「亀」に北の「松」にも変化、鳳凰は「鶴」に南、「梅」にも変化したと言う。「竹」は翡翠(ひすい)の琅玕(ろうかん)、緑ガラス管玉(くだたま)か。目出度い「鶴亀」鶴は千年、亀は万年と言うが、鳳凰が千年生き、龍は万年生きると伝えられて居るのか。龍も鳳凰も神の使いとして神の世界と現世を行来(ゆきき)する。室町時代に金鶏鳥と銀鶏鳥が新めて伝わる。
 神前に供(そな)えられる『御幣(ごへい)』は鳥に観える。金鶏鳥の金の鶏冠の冠を象(かたど)って居る。「御幣」が空を飛び、又、米俵が連(つら)なって空を飛ぶ図をよく見掛ける。御幣は、神の使い金鶏鳥を象り、金の鶏冠(とさか)を象ったもので在ろう。(上代)
          亦(また)一つ突破口が見付かった。